この記事でわかること
  • 工務店サイト13,046件を実測して分かった、AI検索に「拾われる入口」の現状
  • 多くの会社に足りないのは、特別な技術ではなく「事例の具体性」と「よくある質問」
  • Google公式・論文・外部調査で分かっていること/まだ分かっていないこと
  • 費用をかけずに今日から始められる5つの手と、やらなくていいこと

「ChatGPTに『〇〇市でおすすめの工務店は?』と聞く人が増えている」という話を、工務店の経営者の方から聞く機会が増えました。実際、毎日生成AIを使う人に限ると、住宅購入の情報収集で生成AIを使った人は約8割という調査もあります(株式会社Mico、2025年11月、有効回答326件。毎日AIを使う層に絞った調査なので、住宅検討者全体の数字ではありません)。

では、AIに探される側の工務店サイトは、いまどんな状態なのか。関東5県・長野・滋賀の工務店・リフォーム・外壁塗装などの事業者サイト13,046件を、同じ物差しで実測しました(2026年10月)。

※本記事の数値は、公開されているサイトを公開情報の範囲(通常のアクセス)で自動診断した実データです。個別企業名は掲載していません。「AI準備度」は当社が設計した独自の物差しで、点数が高いサイトがAIに引用されることを示すものではありません。

先に結論|AI検索対策に、魔法はありません

AI検索は「特別な対策」が必要なのか

分かっていることを、確認できたものに絞って整理します。

出典分かっていること
Google 検索セントラルAI OverviewsやAI Modeに載るための追加要件や特別な最適化は不要。特別なschema.org(構造化データ)も不要。基本のSEOが土台
GEO論文(arXiv)手法によって、生成AIの回答の中での可視性が最大40%上がったと報告。ただし効果は分野によって異なる
BrightLocal調査ChatGPTの地域ビジネス検索800件(2024年11月、米国)で、引用元の58%が事業者自身のサイト、27%が事業者の言及、15%がディレクトリ
Google担当者の発言llms.txt(AI向けの案内ファイル)は、AIがサイトを選ぶ助けにならないという趣旨

つまり、Googleは「特別なことは要らない」と言い、論文は「具体的に書くことの効果」を示し、地域検索の調査では「自社サイトが最大の引用元」でした。自社サイトの中身を、具体的で読みやすくすることが、いちばん確かな道筋です。

※BrightLocalの調査は米国の地域ビジネス検索・ChatGPTでの結果です。日本の工務店にそのまま当てはまるとは言えません。論文も、工務店での検証ではありません。

何を、どうやって調べたか

対象は、Googleマップに掲載されている工務店・注文住宅・リフォーム・外壁塗装・屋根工事の事業者のうち、公式サイトに到達できたものです。

エリアサイト数AI準備度の中央値80点以上事例ページありFAQあり
群馬1,5046519%73%26%
埼玉4,0156622%76%32%
茨城2,2976519%75%29%
栃木1,4456621%77%29%
千葉北西部1,2136824%79%34%
長野(主要19市)1,3976622%80%25%
滋賀1,1756517%79%23%
合計13,0466621%77%29%

エリア別の中央値は65〜68点で、地域差はほとんどありません。差があるのは、地域ではなくサイトごとです。

「AI準備度」は100点満点で、次の3つで採点しました。

方法は、公開URLへの通常のアクセス(GET)で確認できる範囲だけです。ログインや認証突破は一切行っていません。

わかったこと

項目該当率意味
サイト全体の巡回をrobots.txtで拒否1.3%検索にもAIにも見えない。ごく少数
AIの巡回(GPTBot・ClaudeBotなど)を拒否1.7%意図せず閉じている会社は少ない
サイトマップがある76%約4社に1社は無い
事例ページがある77%入口はある。問題は中身
事例ページが1,500字以上(事例ページのあるサイト中)45%短い紹介文だけのページが多い
事例に数字が5個以上(㎡・坪・万円・等級など、事例ページのあるサイト中)29%具体的な数字が入った事例は少数派
よくある質問(FAQ)がある29%多くの会社が未着手
代表者の言葉・あいさつがある20%こちらも少数
住所・電話がテキストで書かれている62%画像だけのサイトは読み取られにくい
構造化データ(JSON-LD)がある47%うち会社情報の形式は35%。Googleは必須としていない

点数の高さ別に、各サイトが持っているものを見ると、次のようになります。

AI準備度サイト数事例ページFAQ代表者の言葉ブログ・お知らせ構造化データ
40点未満1,3976%3%2%18%2%
40〜59点3,30556%13%11%49%25%
60〜79点5,64695%29%21%82%53%
80点以上2,698100%63%39%96%87%
※この表は、点数の付け方(配点)をそのまま反映したものです。「これらを持つとAIに紹介される」ことを示すものではありません。

工務店が今日からできる5つの手

特別な技術は要りません。すべて、費用をかけずに始められます。

  1. 事例に「数字」を入れる:築年数、延床面積、工期、工事内容、断熱などの性能値、費用の目安(言える範囲で)。「素敵な家が完成しました」より、数字と判断の理由のほうが、人にもAIにも伝わります。
  2. よくある質問を10個書く:実際にお客様から聞かれる質問と、大工さんの答えをそのまま。「見積りは無料?」「何か月かかる?」「補助金は使える?」など。
  3. 代表者・職人の言葉を載せる:なぜこの仕事をしているのか、何を大切にしているか。短くて構いません。顔写真は必須ではありません。
  4. 住所・電話・対応エリア・営業日をテキストで書く:画像に埋め込まず、文字で。Googleビジネスプロフィールの内容とも揃えます。
  5. 基本のSEOを整える:タイトルと見出しを分かりやすく、サイトマップを置き、重要な内容を画像でなくテキストで書く。構造化データは、見える内容と一致させて補助的に。

書き方の例(イメージ)
✕「築古の住宅を素敵にリフォームしました。お客様にも大変ご満足いただけました。」
○「築45年・延床32坪の木造2階建て。耐震診断で評点0.7を確認し、壁の補強と断熱改修を実施。工期は約3か月。『冬の寒さが一番の悩み』というご相談から、窓と床下の断熱を優先しました。」
※架空の例です。実際には、数字や判断の理由は、実際の工事の内容を書いてください。

やらなくていいこと

この調査の限界

自社がAIに出るかを、自分で確かめる方法

  1. ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモードに、「(地域名) 工務店 おすすめ」「(地域名) 古民家 リフォーム」など、お客様が聞きそうな言葉で聞いてみる。
  2. 自社が出るか、出ないか。出ている会社は、どんな情報を載せているかを見る。
  3. 月に1回、同じ質問で繰り返して記録する。足したこと(事例、FAQ)と見比べる。

AIから実際に人が来ているかは、GA4で見られます

AIに出たかどうかだけでなく、「AIの回答から、実際に人が来たか」も、アクセス解析(GA4)で無料で確認できます。サーチコンソールでは、AI経由の流入は通常のWeb検索に含まれ、分けて見えません(Google公式の案内)。

  1. GA4の「集客」→「トラフィック獲得」で、ディメンションを「セッションの参照元」に切り替え、「chatgpt」で検索する。
  2. 「エンゲージメント」→「ランディングページ」で、「+」から「セッションの参照元」を追加し、chatgpt.com に絞る。
  3. AIの回答から人が入ってきた「入口のページ」が並ぶ。

実例として、自社で支援しているアートメイクサロンのサイトでは、直近90日(2026年8月〜11月4日)のセッション1,091のうち、ChatGPT・OpenAI経由が138(約12.6%)でした。月別では9月が64、10月が63。入口はトップページのほか、男性向けの眉のページ、エリア別のページ、お悩み別のコラムなど、ページごとに分かれていました。

注意点が3つあります。①数えているのは訪問数で、予約や売上ではありません。②参照元が付かずに来た人は「ダイレクト」に混ざるため、実際はこれより多い可能性があります。③1つのサイトの例であり、工務店で同じ結果になるとは言えません。まず自社で「ゼロではないか」を確かめるところから始めるのがおすすめです。

無料・費用契約なし

自社サイトの状態を、無料で確認します。

事例の具体性・よくある質問・基本の設定など、AI検索に拾われるための状態を、公開情報の範囲で確認してお伝えします。結果の保証はできませんが、足りないところを一緒に整理できます。

オンライン対応・押し売りなし

よくある質問(FAQ)

AIO・LLMO・GEOは何が違うのですか?

呼び方が違うだけで、施策の大半は重なっています。AI Overviews向けをAIO、ChatGPTなど言語モデル向けをLLMO、生成エンジン向けをGEOと呼ぶことが多いものの、定義は媒体によって揺れています。工務店が最初にやることは、どれでも同じです。

AI検索のために、特別なタグや設定は必要ですか?

Google公式は、AI OverviewsやAI Modeに載るために「追加の要件や特別な最適化は不要」「特別なschema.orgも不要」としています。クロールを許可し、重要な内容をテキストで書く、といった基本が土台です。

やれば、AIに紹介されるようになりますか?

保証はできません。工務店サイトで「この対策をするとAIに引用される」ことを検証したデータは、今のところ見つかっていません。足してから、実際にAIに聞いて確かめるのが確実です。

小さな工務店でもできますか?

できます。事例に築年数・面積・期間・工事内容を書く、よくある質問を10個書く、代表の言葉を載せる、といった内容は、費用をかけずに今日から始められます。

まとめ|足すのは「特別な技術」でなく「具体的な中身」

入口で閉じている工務店サイトは、ほとんどありません。差がつくのは、事例の具体性とよくある質問、そして代表者の言葉といった「中身」です。AIに紹介されることは保証できませんが、これらはお客様が会社を選ぶときにも、そのまま役に立つ内容です。まずは、最近の事例を1件、数字を入れて書き直すところから始めてみてください。