- 2021年・2022年の病院ランサムウェア事例で何が起きたか
- 共通していた「入口」と、診療が約2か月影響を受けた理由
- クリニックなど小規模医療機関が今日からできる備え
病院へのランサムウェア攻撃は、ニュースで見るたびに「大きな病院の話」と感じるかもしれません。しかし、被害の原因を見ていくと、クリニックにもそのまま当てはまる“入口”が見えてきます。代表的な2件を整理します。
事例1:徳島県つるぎ町立半田病院(2021年10月)
- 2021年10月31日未明、院内のプリンターから脅迫文が出力され、電子カルテを含むシステムが利用不能に。
- ランサムウェア(LockBitとされる)による被害で、病院は身代金に応じず復旧を選択。
- 通常診療の再開までに約2か月を要したと報じられています。
- 侵入の入口として、外部との接続に使われていたVPN機器の脆弱性が指摘されています。
事例2:大阪急性期・総合医療センター(2022年10月)
- 2022年10月31日、電子カルテが使えなくなり、緊急以外の手術・外来診療が一時停止。
- 給食業者のシステムを経由し、VPN機器の脆弱性を突かれたとされています。
- 厚生労働省の資料でも、両病院とも約2か月間、電子カルテから紙カルテへ切り替えて診療を続けたと整理されています。
2つの事例に共通する「入口」
| 共通点 | クリニックに置き換えると |
|---|---|
| VPN機器の脆弱性(更新放置) | 電子カルテ業者の保守回線・リモート接続機器が、何年も更新されていない |
| 取引先・委託先を経由した侵入 | 給食・検査・会計・保守会社などの“つながり”が入口になる |
| 復旧に約2か月(紙運用) | 電子カルテ停止=予約・会計・処方がすべて手作業に |
警察庁の集計でも、ランサムウェアの主な侵入経路はVPN機器の脆弱性とされています。小規模なクリニックは、機器の管理を保守業者に任せきりで、誰も更新状況を把握していないことが少なくありません。
今すぐ、自社サイトの危険性をチェック
ドメインを入れるだけで、「誰でも管理画面に入れる状態になっていないか」「サイトの鍵(暗号化)が切れていないか」「古いシステムのまま放置されていないか」を、誰でも見られる情報の範囲で自動チェックします。
クリニックが今日からできる5つの備え
- 保守業者に確認:「VPN・ルーターのファームウェアは最新か」「リモート保守の回線は常時開いていないか」を書面で確認
- バックアップを切り離す:電子カルテのバックアップが、常時つながった場所だけだと一緒に暗号化されます。オフラインのコピーを
- 二段階認証:メール・クラウド・ホームページ管理画面に設定
- 紙運用の手順書:停止時に予約・会計・処方をどう回すか、連絡先とあわせて1枚に
- ホームページの外周点検:管理画面の露出・古いCMS・SSLを確認。これは今日、無料でできます
医療機関のBCP(事業継続計画)では、「災害」だけでなく「システムが止まったら」の想定が求められる時代です。大規模な投資より先に、入口の更新と、止まったときの手順を決めることが現実的な第一歩です。
よくある質問(FAQ)
病院ではなく小さなクリニックでも対象になりますか?
なります。攻撃は規模で相手を選ばず、弱点のある機器を機械的に探します。むしろ小規模な医療機関ほど、専任のIT担当がいないため入口(VPN機器・リモート保守回線など)が放置されやすい傾向があります。
電子カルテが止まったら、まず何をすべきですか?
(1) 感染が疑われる端末をネットワークから切り離す(電源は切らない)、(2) 保守業者・厚労省の相談窓口・警察へ連絡、(3) 紙運用に切り替える、が基本です。普段から『紙運用の手順書』と連絡先を1枚にまとめておくと初動が大きく変わります。
ホームページと電子カルテは別物ですよね?
システムとしては別ですが、同じ事業者が管理していたり、同じパスワードを使い回していたりすると、ホームページの弱点が入口になることがあります。外から見えるホームページの状態は、その医療機関の『管理の習慣』を映す鏡でもあります。
まとめ|「止まる前」に確認できることがある
2つの病院事例が教えてくれるのは、被害のきっかけが「放置された入口」だったということです。まずは保守業者への確認と、バックアップの切り離し、そしてホームページの外周点検から始めてみてください。
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SSL・管理画面の露出・CMSの状態を点検し、優先順位つきでお伝えします。医療・介護分野の実測データも踏まえてご説明します。
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