この記事でわかること
  • 医療・介護分野 約1,767サイトを診断してわかった「Webの弱点」の実データ
  • 患者情報を預かるクリニックだからこそ深刻な、3つの具体的リスク
  • 「うちは小さいから狙われない」が通用しない、攻撃の自動化という現実
  • 専門知識ゼロでも今日から確認・対策できる4つのチェックと3ステップ

クリニックや医療機関のホームページは、いまや「診療案内のパンフレット」ではありません。Web予約・問診票・お問い合わせフォームを通じて、患者さんの氏名・連絡先・症状といった、極めて機微な個人情報が日々やり取りされる窓口です。それにもかかわらず、そのサイトの「安全性」に目を向けたことがある院長先生は、決して多くありません。

今回私たちは、医療・介護分野の約1,767サイトを対象に、公開情報の範囲でSSL(暗号化)・管理画面の露出・CMS(WordPress等)のバージョン露出などを自動診断しました。結果は、率直に言って楽観できるものではありませんでした。

※本記事の数値は、群馬・茨城の医療・介護事業者を中心とした約1,767件の公開サイトを、公開情報の範囲で自動診断した実データです。攻撃行為・不正アクセスは一切行っていません。対象の抽出方法や診断時点により数値は変動し、個別の施設名は掲載していません。

約1,767件の診断でわかった、医療・介護サイトの「弱点」

公開されている範囲で確認できた「外から見える弱点」のうち、該当率が高かった項目です。

点検項目該当率(約1,767件中)何が問題か
① 管理画面(ログイン画面)が外から開ける状態28.7%約3.5社に1社。総当たり攻撃の入口になる
② CMS(WordPress等)のバージョンが露出約50%古い版だと既知の弱点を狙われやすい
③ 常時SSL(https)未対応22.6%問診・予約情報が暗号化されず送信される
④ 何らかの要注意・やや注意の項目あり約99%ほぼすべてのサイトに改善余地があった
SAFE
目立った弱点なし
約1%
WARN
要改善の項目あり
大多数
RISK
管理画面が露出
28.7%

※参考までに、業種横断で約2万3千社を診断した全体の傾向では、管理画面の露出は31.8%、古いCMS等の露出は53.5%でした。医療・介護も「特別に安全」とは言えず、むしろ平均並みかそれ以上に弱点が残っているのが実情です。

とくに危ないのは「管理画面が丸見え」の状態

🚪
ドメインの後ろに /wp-login.php を付けると、誰でもログイン画面が開く
これは「家の玄関の場所を、通りすがりの全員に教えている」状態です。あとはパスワードを機械的に何万回も試す“総当たり攻撃”を待つだけになります。
🩺
問い合わせ・Web予約ページで「保護されていない通信」の警告
SSL未対応だと、患者さんが入力した氏名・連絡先・症状が暗号化されずに送られます。患者さんのブラウザにも警告が出て、信頼を損ないます。
🏷️
ページのソースに「WordPress 5.x」など古いバージョンが表示されている
攻撃者は、その版に存在する“既知の弱点リスト”を突き合わせるだけで侵入経路を探せます。バージョンを隠し、最新に保つことが基本の防御です。

クリニックだからこそ深刻な、3つのリスク

一般企業のサイトが乗っ取られるのと、クリニックのサイトが乗っ取られるのとでは、影響の重さがまったく違います。

① 患者さんの個人情報(要配慮個人情報)の漏洩

病歴や症状は、個人情報保護法で特に手厚く守るべき「要配慮個人情報」に当たります。Web予約や問診フォームから集めたこれらの情報が流出すれば、患者さんへの被害はもちろん、クリニックの信頼は一夜で崩れます。「あそこは情報がずさん」という評判は、地域医療において致命的です。

② サイトの改ざん・なりすまし

管理画面から侵入されると、診療時間や休診情報を書き換えられたり、まったく無関係な広告・詐欺サイトへの誘導を埋め込まれたりします。患者さんが「偽の休診情報」を見て来院できなくなる、あるいは偽ページで金銭被害に遭う、といった二次被害に発展します。

③ 攻撃の「踏み台」にされる加害者化

乗っ取られたサイトは、他所への攻撃メール送信や、別のサイバー攻撃の中継地点(踏み台)として悪用されることがあります。被害者のはずが、知らないうちに“加害者側”に回ってしまう——これは医療機関にとって説明のつかない事態です。

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今すぐ、自社サイトの危険性をチェック

ドメインを入れるだけで、「誰でも管理画面に入れる状態になっていないか」「サイトの鍵(暗号化)が切れていないか」「古いシステムのまま放置されていないか」を、誰でも見られる情報の範囲で自動チェックします。

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自院のサイトは「弱点」を
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SSL・管理画面の露出・CMSの状態など、外から見える弱点を公開情報の範囲で点検し、直すべき箇所を優先度順の1枚のレポートにしてお渡しします。押し売りはしません。

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「うちは小さいから狙われない」が通用しない理由

院長先生からよく伺うのが「大きな病院ならともかく、うちのような小さなクリニックが狙われるはずがない」という言葉です。しかし、これは大きな誤解です。

現代のサイバー攻撃は 自動化 されている ↓ インターネット全体を機械が巡回し、 「管理画面が開いている」「CMSが古い」サイトを 規模に関係なく 無差別に 見つけて侵入を試みる

攻撃者は「〇〇クリニックを狙おう」と考えているわけではありません。弱点のあるサイトを機械的に探し、見つけ次第、片っ端から侵入を試みるのです。つまり、狙われる理由は「有名だから」ではなく「たまたま鍵が開いていたから」。規模の大小はまったく関係ありません。IPA(情報処理推進機構)の調査でも、中小規模の組織の多くが「何から手をつければよいか分からない」まま放置している実態が指摘されています。

専門知識ゼロでも今日からできる、確認と対策

「専門的すぎて、何をすればいいか分からない」——それが普通です。まずは以下の順で進めれば十分です。

ステップ0:まず自分で確認する4つのポイント

ステップ1:技術的な穴を、まず塞ぐ

ステップ2:セキュリティヘッダーなど「基本装備」を整える

クリックジャッキング対策や、ブラウザに安全な通信を強制する設定(HSTS)などは、一度整えれば継続的に効く“基本装備”です。専門的に見えますが、対応箇所は決まっており、設定ファイルの数行で大きくリスクを下げられます。(当社の自社サイトも、この基本装備を整えて外周点検スコアを100点にしています。)

ステップ3:年に数回の「定点観測」を仕組みにする

一度直しても、時間が経てばCMSは古くなり、新しい弱点も見つかります。大切なのは「作って終わり」にせず、定期的に点検する仕組みを持つこと。院内リソースで難しければ、外部の定期点検を利用するのが現実的です。

セキュリティ対策は「一度の大工事」ではなく、戸締まりの習慣に近いものです。完璧を目指して身構えるより、まず「玄関の鍵は開いていないか(管理画面の露出)」「通信は暗号化されているか(SSL)」の2点を今日確認するだけでも、リスクは大きく下がります。

正直にお伝えします。どんな対策をしても「絶対に安全」はありません。目的は“ゼロリスク”ではなく、機械的な無差別攻撃に「ここは面倒だ」と素通りさせることです。開いている鍵を閉めるだけで、その大半は防げます。

よくある質問(FAQ)

クリニックのホームページは、専門の攻撃者に狙われるのですか?

多くの場合、名指しで狙われるわけではありません。攻撃は自動化されており、弱点のあるサイトを機械的に見つけて無差別に侵入を試みます。“たまたま弱いから狙われる”ため、規模の大小は関係ありません。

制作会社に任せているので、セキュリティも大丈夫ですよね?

必ずしもそうとは限りません。保守契約が「サーバー代の立て替え」だけで、更新や脆弱性対応が含まれないケースは多く見られます。まず契約内容を確認してください。

自院のサイトが危ない状態か、どうすれば分かりますか?

URLの「保護されていない通信」警告、/wp-login.php が誰でも開けるか、フッターの年数の3点がまず簡単な目安です。判断が難しければ、公開情報の範囲で無料の外周点検を受けるのが確実です。

まとめ|患者さんの信頼は「戸締まり」から

クリニックが積み上げてきた地域からの信頼は、丁寧な診療だけでなく、「預かった情報をきちんと守っている」という安心感の上に成り立っています。Webサイトの戸締まりは、その信頼を守る、目立たないけれど大切な仕事です。

まずは今日、自院サイトのURL欄の鍵マークと、/wp-login.php が開かないかを確認することから始めてみてください。もし不安があれば、外から見える弱点を無料で点検し、優先度順に整理してお渡しします。

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