
- 「個人情報保護法で使えるか」と「委託契約で使えるか」は別問題だということ
- 自治体から受託した調査業務は、外部送信が「再委託」にあたり得る理由
- 再委託の扱いは自治体ごとに違う(神戸市・福岡市・足立区の実例)
- 「氏名を消せば匿名」がなぜ誤解なのか
- 送る前に確認する順番(データ→保有根拠→契約→ベンダー→確認体制)
紙やPDFで届いた認定調査票の特記事項を、外部のOCR・AIサービスでテキスト化したい——このとき最初に整理しておきたいのが、「個人情報保護法の上で使えるか」と「自治体との委託契約の上で使えるか」は、まったく別の問題だという点です。片方だけを見て「大丈夫」と判断すると、あとで契約違反になりかねません。この記事では、一次情報をもとに、断定を避けながら確認の勘所を整理します。
ここでは特定の判断を保証するものではありません。最終的な可否は、あなたの事業所が結んでいる委託契約書・仕様書・個人情報取扱特記事項によって決まります。「必ず使える/必ず使えない」と一律に言えない領域なので、確認すべき論点を示すことを目的にしています。
2つの関門は別物——「個人情報保護」と「委託契約」
外部サービスへ調査票を送る話には、通過すべき関門が2つあります。
- 関門①:個人情報保護法——介護記録や認定調査票には、病歴・心身の状況などの要配慮個人情報が含まれ得ます。外部処理を委託するなら、委託先に安全管理措置を実施させ、適切に監督する必要があります(個人情報保護委員会 通則ガイドライン)。
- 関門②:自治体との委託契約——市町村から認定調査業務を受託して作成した調査票は、公的な委託契約下のデータです。外部OCRへ処理させる構成は、契約上の「再委託」に該当し得ます。
ここが実務で一番混同されるところです。個人情報保護の安全管理措置を満たしていても、自治体仕様書が再委託を禁止していれば使えない可能性がある——逆もまた然り。両方を別々に確認する必要があります。
自治体から受託した調査業務は「再委託」にあたり得る
「誰の資料か」より、「どういう立場でその資料を保有しているか」を先に確認してください。ケアプラン作成のために適法に取得した資料と、市町村から認定調査業務そのものを受託して作成・保有している調査票では、契約上の制約が変わり得ます。後者の一部処理を第三者に担わせる構成は、再委託に該当し得ます。
そして重要なのは、その扱いは自治体ごとに大きく違うことです。公表資料からいくつか例を挙げます(いずれも各自治体の公開資料に基づく事実の紹介で、他自治体へ一般化はできません)。
| 自治体(公表資料の例) | 再委託の扱い |
|---|---|
| 神戸市(認定調査委託資料) | 事前の書面承諾なしに第三者へ再委託することを禁止 |
| 福岡市(認定調査業務 仕様の例) | 業務の全部または一部の第三者への再委託を禁止と明記 |
| 足立区(個人情報取扱条項) | 再委託する場合、業務開始前に再委託先・理由・範囲・取り扱う情報・安全管理措置等を書面で申請して承認を受ける仕組み |
「外部へ送れば必ず再委託で違法」も、「書面承認を取れば常に可」も、どちらも言い切れません。禁止の自治体・承認制の自治体が混在しているのが実態です。だからこそ、自分の契約書・仕様書・個人情報取扱特記事項を1件ずつ確認するのが唯一確実な方法になります。
個人情報保護法の側で確認すること
契約がクリアでも、個人情報保護の観点は別に満たす必要があります。委託構成をとるなら、委託先に対して次を確認・監督します。
- 学習利用の有無(AIの再学習・品質評価に使わないか)
- 処理・保存の場所(国内か、国外アクセスがあるか)
- 保持期間と削除(原本画像・生成テキスト・一時ファイル・ログのどこまで、いつ消えるか)
- アクセス権・ログ・暗号化
- 再委託先の有無、事故時の連絡体制、契約終了時のデータ返却・消去
氏名を伏せても、年齢・地域・病歴・家族構成などの組み合わせで個人が識別できる場合、要配慮個人情報としての性質は失われません。単なる伏字は、法的な匿名加工とは別物です。個人情報に当たるかは、情報全体の組み合わせで判断されます。
「匿名運用」で試せるかを、実物で確かめる。
特記事項の転記代行では、氏名・被保険者番号を付箋や番号(「13番」など)で隠したまま送れます。非学習・国内処理・即時削除で、最終確認はケアマネ本人。まずは自分の資料で使えるかをノーリスクで確認できます。
カード登録不要/自治体受託業務は契約確認のうえご利用ください送る前に確認する順番(チェックゲート)
「暗号化しているから安全」「非学習だから安全」といった一点突破の判断を避けるため、次の順で確認すると抜けが出にくくなります。
| 確認ゲート | 確認内容 |
|---|---|
| ① データ | 要配慮個人情報・利用者を識別できる情報を含むか |
| ② 保有根拠 | 通常のケアマネ業務資料か、自治体受託業務の資料か |
| ③ 契約 | 外部処理が委託・再委託に当たるか。承認が必要か、禁止か |
| ④ ベンダー | 学習利用・処理場所・保存期間・削除・再委託・アクセス権・ログ・事故対応 |
| ⑤ 確認体制 | 誤認識を誰が照合し、誰が確定するか(Human-in-the-loop) |
この順にすると、②の「保有根拠」で自治体受託業務だと分かった時点で、③の契約確認が最優先になる、という判断の流れが自然にできます。
まとめ:契約と個人情報は「別々に」確認する
認定調査票を外部OCRへ送るかどうかは、①要配慮個人情報を含むか ②どの立場で保有している資料か ③委託契約上、再委託が禁止か承認制か ④ベンダーの安全管理は開示されているか ⑤最終確認は誰が行うか——この順で確認するのが安全です。自治体ごとに扱いが大きく違うため、契約書・仕様書・個人情報取扱特記事項の確認は省略できません。関連する汎用OCR・無料AIの落とし穴や、転記代行サービスの選び方もあわせてご覧ください。
契約を確認したら、まず1本試す。
初期費用・月額基本料0円。カード登録も契約書締結も不要です。要配慮個人情報は匿名のまま送付でき、確定はケアマネ自身が行う設計です。
営業電話はしません/自治体受託業務は仕様書の確認を推奨します