- 認定調査票の「特記事項」とは何か、基本調査との関係
- 特記事項が、介護認定審査会(二次判定)で重要になる理由
- 選択根拠が伝わる、特記事項の書き方の基本と記入例
- やってしまいがちな「伝わらない特記事項」の例
- 届いた特記事項を介護ソフトへ転記する負担を軽くする方法
要介護認定の手続きでは、認定調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状態を確認する「認定調査」を行います。その記録である認定調査票のなかで、実務上とても重要なのに、書くのにも扱うのにも手間がかかるのが「特記事項」です。
この記事では、特記事項とは何か、なぜ大切なのか、どう書けば伝わるのかを基礎から整理し、あわせて居宅ケアマネジャーが特記事項を自社の介護ソフトへ転記する負担を軽くする方法まで解説します。
認定調査票の「特記事項」とは何か
認定調査票は、大きく「概況調査」「基本調査」「特記事項」で構成されます。基本調査は、身体機能・起居動作、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応など、全国共通のおよそ74項目を、決められた選択肢から選んでチェックしていくものです。
ただ、現場の状態は選択肢だけでは表現しきれません。「選択肢を選んだ理由」や「その人の具体的な状況・介助の実態」を、文章で補足するのが特記事項です。基本調査が“点”のデータだとすれば、特記事項はその点に意味を与える“文脈”にあたります。
特記事項とは、「なぜその選択肢を選んだのか」「実際はどんな状況なのか」を言葉で伝える欄です。基本調査のチェックだけでは分からない“その人らしさ”と“介助の実態”を、審査する人に届ける役割を持ちます。
特記事項が「二次判定」で重要になる理由
要介護度は、二段階で決まります。まず基本調査の結果をもとに、コンピュータが機械的に判定する「一次判定」。次に、その結果と主治医意見書・特記事項を、専門職で構成される「介護認定審査会」が検討して確定する「二次判定」です。
ここで大きな意味を持つのが特記事項です。一次判定は選択肢の組み合わせで出るため、手間のかかり方や介助の実態が、実際より軽く(あるいは重く)出ることがあります。審査会は特記事項を読んで、「この選択の背景にはこういう事情がある」と理解し、必要に応じて一次判定を見直します。
選択肢だけでは伝わらない介助の手間を、審査会が正しく評価するための材料です。
「できる/できない」の裏にある頻度・介助の程度・環境を補い、その人の状態像を具体化します。
調査時点の具体的な生活状況は、ケアマネのアセスメントや計画づくりの貴重な一次情報です。
特記事項の書き方——3つの基本
特記事項は「たくさん書けば良い」ものではありません。審査会が短時間で状態を理解できるよう、事実ベースで、選択根拠が伝わるように書くのが基本です。押さえたいのは次の3点です。
- 項目番号を添える——どの基本調査項目についての補足かが一目で分かるよう、「1-7」「2-5」などの番号を頭に付けます。
- 選択根拠を書く——なぜその選択肢にしたのか。「能力」「介助の方法」「障害の有無」のどの軸で判断したかが伝わるようにします。
- 具体的な状況を、事実で——頻度(週◯回・1日◯回)、介助の程度(一部介助・全介助)、場面や環境を、推測でなく観察した事実で書きます。
記入例:伝わる特記事項・伝わりにくい特記事項
右の例は、項目番号・具体的な動作・距離・介助の理由がそろっているため、審査会が状態像をすぐに理解できます。左の例は間違いではありませんが、程度や場面が曖昧で、判断材料としては弱くなります。
特記事項は、対象者本人・家族が読む可能性も踏まえ、断定的な評価や主観的な決めつけは避け、観察した事実を中心に記載します。専門用語は必要な範囲にとどめ、誰が読んでも状況が分かる表現を心がけましょう。
ケアマネの本当の負担は、実は「転記」にある
ここまで「書き方」を見てきましたが、居宅介護支援の現場でもう一つ大きな負担になっているのが、届いた認定調査票の特記事項を、自社の介護ソフト(ワイズマン・ほのぼの・カイポケ等)へ手入力で転記する作業です。
社協様式やPDFで届く特記事項を見ながら1文字ずつ打ち込むこの作業は、1本あたり45〜60分かかることもあり、件数が重なる月は残業や持ち越しの原因になります。実際、現場のケアマネからは「特記の転記が一番時間がかかる」という声が上がります。
厚生労働省のケアプランデータ連携システムを導入しても、行政・社協から届く紙やPDFの認定調査票は対象外のため、この“前工程の手作業”はそのまま残ります。ここは、いまある業務フローを変えずに軽くできる部分です。
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カード登録不要/個人情報は付箋・番号で隠したままでOKまとめ:特記事項は「伝える」ためのもの、転記は「任せられる」もの
認定調査票の特記事項は、基本調査の選択肢だけでは伝わらない状態像と介助の実態を、審査会に届けるための大切な文章です。項目番号・選択根拠・具体的な事実——この3点を意識すれば、短くても伝わる特記事項になります。
一方で、その特記事項を介護ソフトへ「転記する」作業は、ケアマネが時間をかけるべき仕事ではありません。書く(判断する)ところに集中し、打ち込む(作業する)ところは仕組みに任せる。その切り分けが、残業を減らし、利用者と向き合う時間を取り戻す近道です。
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