- 令和8年度診療報酬改定で、訪問看護記録に「実際の開始・終了時刻」の記載が明確化されたこと
- この変更はすべての訪問看護ステーションが対象であること
- ネット上で話題の「記録書Ⅲ」は、実は対象が限定的な別の話であること
- 記録書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと、それぞれ誰が作成する必要があるか
- 音声入力で時刻の記載精度を上げる、現実的な対応方法
「令和8年度改定で訪問看護の記録が厳しくなるらしい」「記録書Ⅲというものができたと聞いた」——そんな話を耳にした訪問看護ステーションの管理者・スタッフの方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、今回の改定で本当にすべての事業所に関わるのは「記録書Ⅲ」ではありません。「訪問看護記録書に、実際の訪問開始時刻・終了時刻の記載を明確に求める」という基準の見直しの方です。この記事では、厚生労働省が公表した令和8年度診療報酬改定資料をもとに、何が本当に変わったのかを正確に整理します。
令和8年度改定で本当に変わったこと
厚生労働省の改定資料には、次のように明記されています。
「訪問看護の実施にあたって漫然かつ画一的なものにならないよう看護目標及び訪問看護計画に沿って行うことや、記録書等に訪問開始時刻と終了時刻等を記載することを明記する」
算定留意事項通知でも「指定訪問看護の実施に係る記録書等において、指定訪問看護の内容に係る評価の記載を求めるとともに、実際の訪問開始時刻と終了時刻を記載する必要があることを明確化する」とされており、毎回の訪問ごとに作成する記録書Ⅱ(経過記録)を含め、記録書全般に「開始・終了時刻」の記載が必要という位置づけです。これは事業所の規模や種別を問わず、訪問看護を提供するすべてのステーションに関わる変更です。
予定していた訪問時間ではなく、実際に訪問看護を行った開始・終了時刻を記録に残すことが明確に求められます。
時刻だけでなく、実施した看護の内容についての評価を記録書に記載することも合わせて求められています。
看護目標・訪問看護計画に沿わない画一的な訪問を防ぐ狙いがあり、記録の実態と請求内容の整合性がより重視されます。
「記録書Ⅲ」は、実は対象が限定的
一方で、ネット上の記事でよく取り上げられている「記録書Ⅲ」ですが、厚労省資料を確認すると、これは「包括型訪問看護療養費」を算定する事業所に限った新様式であることがわかります。
包括型訪問看護療養費とは、高齢者向け住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、その住まいに居住する利用者に対して24時間体制で計画的または随時の対応による頻回の訪問看護を行った場合に、1日単位で算定する新設の療養費区分です。記録書Ⅲはこの包括型を算定する利用者について、1日ごとに作成し、訪問ごとの内容を時系列で記載したうえで合計訪問時間をまとめる様式とされています。
| 様式 | 作成タイミング | 対象事業所・利用者 |
|---|---|---|
| 記録書Ⅰ | 利用者ごと・初回訪問時等 | すべての訪問看護利用者 |
| 記録書Ⅱ | 訪問ごと(経過記録) | すべての訪問看護利用者・今回、開始/終了時刻の記載明確化 |
| 記録書Ⅲ(新設) | 1日ごと・合計訪問時間を記載 | 包括型訪問看護療養費を算定する利用者のみ |
高齢者住まい併設型・24時間頻回対応のステーション以外にとっては、記録書Ⅲそのものより、記録書Ⅱの「開始・終了時刻の記載明確化」の方が実務への影響が大きいというのが、資料を確認した上での実態です。
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「開始・終了時刻の記載」と言葉にするのは簡単ですが、現場では新しい悩みが生まれます。手書きやメモで管理していた時刻を、訪問後にまとめて記録システムへ入力する運用では、時刻の正確性がどうしても曖昧になりがちです。
音声入力やAIで記録を自動化する場合も同じ課題があります。音声メッセージを送信した時刻は「記録した時刻」であって「訪問した時刻」ではありません。訪問後にまとめて1回音声を送る運用では、少なくとも開始時刻はそのままでは残せません。
現実的な対応の考え方
- 口頭で時刻を伝える運用にする:音声の中で「10時5分に訪問開始、10時35分に終了しました」のように時刻を発話してもらい、記録に反映する方法。運用変更のみで対応できますが、言い忘れのリスクは残ります。
- 訪問開始時・終了時の2回に分けて音声を送る運用にする:それぞれのメッセージが届いた時刻をそのまま開始・終了時刻として記録に組み込む方法。時刻の正確性は上がりますが、運用が1回で完結しなくなります。
- まずは記録の"内容"を確実に自動化し、時刻は事業所の運用ルールとして固定する:訪問看護計画に基づく標準的な滞在時間を基本としつつ、ズレが生じた場合のみ実際の時刻を申告する、という段階的な対応も現実的な選択肢です。
制度の詳細な運用・様式・算定要件は、地域の指定権者や国保連の解釈によって異なる場合があります。本記事は厚生労働省が公表した改定資料をもとに整理したものですが、実際の請求・記録運用にあたっては、必ず最新の通知および所轄の指定権者への確認を行ってください。
まとめ:まず「記録の中身」を自動化し、時刻の運用を整える
令和8年度改定で本当に押さえておくべきは、「記録書Ⅲ」という一部の事業所限定の新様式よりも、すべての訪問看護記録に関わる「開始・終了時刻の記載明確化」です。記録書Ⅲの対象になる高齢者住まい併設型・24時間頻回対応のステーションは、そちらの様式対応も別途必要になります。
いずれにしても、記録業務の負担がこれ以上増えないようにするには、まず記録の"中身"の作成そのものを自動化しておくことが土台になります。「はなまる看護AI」は、LINEに話しかけるだけでSOAP形式の経過記録が自動完成する医療・介護特化型AIです。時刻の記載についても、無料トライアル期間中に運用を一緒に整えていくことができます。
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