この記事でわかること
  • 「保守契約」の中身は制作会社によって全く違う、という見落とされがちな実態
  • 北関東2万3千社の実測が示す、「保守してるはずなのに古いまま」の矛盾
  • 契約書を読み直さなくても、今すぐ確認できる3つのチェックポイント
  • 制作会社を責めずに、認識のズレを埋めるための聞き方

「うちはちゃんと制作会社と保守契約を結んでいるから大丈夫」——そう思っている経営者の方は少なくありません。しかし実際にサイトを点検してみると、毎月きちんと保守料を払っているのに、CMSのバージョンが何年も前のまま、というケースに驚くほどよく出会います。

これは制作会社が悪意を持ってサボっているという話では、多くの場合ありません。原因はもっと単純で、「保守」という言葉が指す範囲が、発注者と制作会社の間ですれ違っていることにあります。

※本記事の実測データは、群馬・茨城・埼玉・千葉・栃木の中小企業サイト約2万3千件を、公開情報の範囲で自動診断した集計値です。攻撃行為・不正アクセスは一切行っていません。特定の制作会社・事業者名は掲載していません。

「保守契約」という言葉が意味することの、会社ごとの差

同じ「月額保守契約」という言葉でも、実際に含まれる作業は制作会社によってまったく異なります。よくある4つのパターンを見てみましょう。

🖥️
パターンA:サーバー代の立て替えのみ
実質は「レンタルサーバー代を代理で払っているだけ」で、CMS本体の更新やセキュリティ対応は範囲外というケースです。
🧩
パターンB:CMS本体は更新するが、プラグイン・テーマは対象外
WordPress本体だけ更新していても、多くの脆弱性は追加した機能(プラグイン)側で見つかっています。片手落ちになりがちです。
🔧
パターンC:障害対応のみ(壊れたら直す)
「表示が崩れた」「動かなくなった」時だけ対応する契約で、予防的な更新やセキュリティ設定は含まれていません。
パターンD:契約書に「セキュリティ」の記載自体がない
そもそも契約書のどこにも更新・脆弱性対応に関する記述がなく、何が保証されているのか誰も把握していないケースです。

どのパターンが悪いという話ではありません。問題は、発注者側が「保守契約=安全は確保されている」と思い込んでしまうことです。

実データが示す「保守してるはずなのに古いまま」の矛盾

私たちが北関東の中小企業サイト約2万3千件を実際に診断した結果、CMS(WordPress等)のバージョンが露出しているサイトは53.5%にのぼりました。これらの多くは、個人が趣味で作ったサイトではなく、制作会社が納品し、何らかの形で保守契約が結ばれているはずのサイトです。

点検項目該当率(約2万3千件中)何が問題か
CMS(WordPress等)のバージョンが露出・古い53.5%2社に1社以上。既知の脆弱性を狙われやすい状態
管理画面(ログイン画面)が外から開ける状態31.8%総当たり攻撃の入口。設定変更だけで防げる
何らかの要注意・やや注意の項目あり98.8%「制作会社に任せてあるから大丈夫」が通用しない実態

出典:北関東2万3千社の実測レポート(2026年8月)

もちろん全てのサイトに保守契約があるとは限りませんが、少なくとも「保守契約があること」と「実際に安全であること」は、イコールではないというのが実測から見えてくる事実です。

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今すぐ確認すべき、保守契約書の3つのチェックポイント

契約書を隅から隅まで読み直す必要はありません。以下の3点だけ確認すれば、自社の「保守」が何をカバーしているかが見えてきます。

チェック1:「更新」の対象範囲はどこまでか

CMS本体だけが対象なのか、追加しているプラグイン・テーマも含まれるのか。ここが曖昧な契約は非常に多く見られます。

チェック2:「セキュリティ」という言葉が契約書のどこにあるか

脆弱性対応・不正アクセス対策について明記されているか確認してください。多くの契約書には、この言葉自体が存在しません。

チェック3:更新の頻度と、実施報告の有無

「いつ・何を更新したか」の記録や報告があるかどうかも重要な指標です。報告がなければ、実際に更新が行われているかを発注者側が確認する手段がありません。

もし「溝」が見つかったら、どうすればいいか

チェックの結果、契約内容と自社の期待にズレがあったとしても、制作会社を責める必要はありません。多くの場合、それは「最初に認識をすり合わせていなかった」だけのことです。

まずは「今の保守契約の対象範囲を、あらためて教えてください」と聞いてみることから始めてください。そのうえで、必要な対応が契約に含まれていなければ、追加費用での対応可否を相談する、または保守専門のサービスへの切り替えを検討する、という順番で進めれば十分です。

「保守契約を結んでいるから安心」ではなく、「何がどこまで保守されているかを、発注者自身も把握している」状態こそが本当の安心です。契約書を確認するという小さな一歩が、見えない溝を埋める最初のきっかけになります。

正直にお伝えします。制作会社を変えても、新しい契約の中身を確認しなければ同じことの繰り返しになります。大切なのは契約先ではなく、「対象範囲・セキュリティの記載・実施報告」を発注者自身が確認する習慣です。

よくある質問(FAQ)

制作会社に確認するのは、失礼にあたりませんか?

責めるための確認ではなく、認識を揃えるための確認です。「今の保守契約の対象範囲を、あらためて教えてください」という聞き方であれば、多くの制作会社は快く説明してくれます。

保守契約に「更新」が含まれていなかったら、どうすればいいですか?

まずは追加費用で定期更新を契約に含められないか相談してください。難しければ、別の制作会社や保守専門のサービスへの切り替えも選択肢です。まず現状のリスクを外周点検で可視化するのがおすすめです。

技術的な話が分からず、契約書を読んでも判断できません。

専門用語が分からなくても大丈夫です。3つのチェックポイントをそのまま制作会社に質問してみてください。回答があいまいな場合、それ自体が一つの判断材料になります。

まとめ|「保守契約がある」と「安全である」は別の話

「制作会社に任せているから大丈夫」という安心感は、契約内容を確認して初めて根拠のあるものになります。今回の実測データが示す通り、CMSの露出は2社に1社以上という水準です。まずは自社の保守契約が何をカバーしているのか、あらためて確認してみてください。

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