- 新築が細る一方で、リフォーム向けの国の補助金はまだ大きく残っていること(2026年10月2日時点)
- 伸びている地域の工務店が共通してやっている「OB客とのつながり方」
- 補助金の案内を、点検・リフォーム相談につなげる5つの手順と文例
- 案内を出す前に確認しておきたい注意点
「新築の相談が減った」「昔のお客さんからの紹介も細ってきた」。地方の工務店さんの集客をお手伝いしていると、よく聞く悩みです。
新しいお客さんを探す前に、ぜひ見てほしい数字があります。リフォーム向けの国の補助金が、まだ予算の8%しか使われていないという数字です。この記事では、この補助金を「OB客に声をかける理由」として使い、点検やリフォームの相談につなげる方法を、手順と文例つきでまとめます。
新築は細り、リフォームの補助金は残っている
まず業界全体の数字です。
- 持ち家の新築着工は2025年度に19.5万戸。1958年度以来の低い水準です(国土交通省の住宅着工統計)。
- 建設業の倒産は2025年に2,021件で、過去10年で最多。約7割が資本金1,000万円未満の小さな会社でした。
- 一方、住宅リフォーム市場は2025年に7.5兆円。2026年は7.7兆円と予測されています(矢野経済研究所、2026年7月)。
そして、国の住宅省エネ補助金の「予算に対する申請額の割合」は、2026年10月2日時点でこうなっています。
| 事業 | 予算に対する申請額 |
|---|---|
| みらいエコ住宅2026(リフォーム) | 8% |
| 先進的窓リノベ2026 | 26% |
| 給湯省エネ2026 | 47% |
| みらいエコ住宅2026(GX志向型・新築 第2期) | 62% |
新築(長期優良・ZEH水準の第2期)は9月30日で申請期限を迎えました。新築の枠は埋まっていき、リフォームの枠は余っている。今の住宅業界を、そのまま表しているような数字です。
伸びている工務店は「OB客とつながり続けている」
では、この環境で伸びている地域の工務店は何をしているのか。業界紙の事例を読むと、派手な広告ではありませんでした。
- 受注の9割がOB客のリピートと紹介、という会社がある
- 月1回のニュースレターを出している。中身は社長の近況や地域のお店の話で、売り込みはほとんどない
- 「点検こそ最大の販促」。定期点検から、数百万円規模のリフォームにつながっている
共通しているのは、一度建てたお客さんと、つながり続けていることです。ただ、何年も連絡していないOB客に急に電話をかけるのは、気が引けるものです。そこで使えるのが補助金です。
補助金の案内が「声をかける理由」になる
補助金の案内には、売り込みに見えにくいという強みがあります。「お得な制度が使える時期なので、お知らせです」という連絡は、受け取る側にとっても役に立つ情報だからです。
しかも、住宅省エネ2026の補助金は登録した事業者が申請する仕組みです。お客さんが自分で調べて動くことは、ほとんどありません。工務店から案内しない限り、使われないまま終わる可能性が高い制度です。
- 先進的窓リノベ2026:窓の断熱改修。1戸あたり上限100万円。工事は2026年12月31日までに完了が必要
- みらいエコ住宅2026(リフォーム):断熱などの省エネ改修。家の建築時期と改修後の性能によって、1戸あたり上限40万〜100万円
- 給湯省エネ2026:高効率給湯器への交換
あわせて、多くの自治体が行っている木造住宅の無料耐震診断も、古い家のOB客に声をかけやすい入口です。対象や受付期間は自治体ごとに違うので、地元の市町村のページで確認してください。
OB客への声かけ、5つの手順
1. OB客の名簿を4項目だけで作る
「名前・住所・建てた年(工事した年)・最後に連絡した日」。まずはこれだけで十分です。紙の台帳でも、表計算ソフトでも構いません。
2. 建てた年が古い順に並べる
築年数が長い家ほど、窓の結露、給湯器の交換時期、断熱、耐震の相談が出やすくなります。上から順に声をかけます。
3. ハガキ・LINE・電話で、短く案内する
文面は短いほど読まれます。下の文例を、自社の言葉に直して使ってください。
文例(ハガキ・LINE)
〇〇様 ご無沙汰しております。〇〇工務店の〇〇です。
今年は国の補助金で、窓の断熱や給湯器の交換が安くできる制度があります(予算がなくなり次第終了、窓は年内の工事が条件です)。
お住まいの点検をかねて、使えるかどうか無料で見に伺います。冬の結露や寒さが気になるところがあれば、お気軽にお電話ください。
4. 「点検」を入口にして、家を見せてもらう
補助金の話だけで終わらせず、点検で家全体を見せてもらいます。屋根、外壁、水まわり、床下。補助金の対象外でも、気になっていた箇所の相談につながることがよくあります。
5. 反応を「相談台帳」で数える
案内を何件出して、何件から連絡があり、何件が見積もり・契約になったか。これを月に1回数えるだけで、次に何を増やせばいいかが見えてきます。「やってみたけど、効いたかどうか分からない」をなくすのが、いちばん大切です。
案内を見たOB客は、まず社名で検索します。
その受け皿、整っていますか。
地域の工務店サイトを公開情報の範囲で点検し、連絡先の見えやすさや更新状況など、取りこぼしやすい点を優先度順にお伝えします。
オンライン対応・押し売りなし案内を出す前に確認しておきたいこと
- 自社が「住宅省エネ支援事業者」に登録しているか。登録していないと申請できません。
- 予算の残りを、出す直前に確認する。消化率は毎日更新され、上限に達した時点で終了します。
- 「必ずもらえます」と言い切らない。補助額は工事内容や製品で決まります。「使えるかどうか、一緒に確認しましょう」という言い方が安全です。
- 窓リノベは工事期限が年内。製品の手配と工期を考えると、声かけは早いほど有利です。
よくある質問(FAQ)
補助金の申請は、お客さんが自分でするのですか?
住宅省エネ2026キャンペーン(みらいエコ住宅2026・先進的窓リノベ2026・給湯省エネ2026)は、事業者として登録した「住宅省エネ支援事業者」が申請する仕組みです。お客さんが自分で調べて申請することはほとんどないため、工務店側から案内する意味があります。自社が登録しているか、まず確認してください。
いつまでに動けばいいですか?
どの事業も、予算の上限に達した時点で受付が終わります。先進的窓リノベ2026は工事を2026年12月31日までに終える必要があります。予算の消化率は公式サイトで毎日更新されるので、案内を出す前に最新の数字を確認してください。
OB客の名簿がバラバラで、どこから手をつければいいか分かりません。
まずは「名前・住所・建てた年・最後に連絡した日」の4項目だけで表を作るのがおすすめです。建てた年が古い順に並べると、窓・給湯器・断熱・耐震の相談が出やすい家から声をかけられます。
ホームページやSNSも同時に直した方がいいですか?
案内を見たOB客が、名前で検索して「今も営業しているか」「相談しやすそうか」を確かめることはよくあります。トップページに補助金の案内と電話・LINEの連絡先が見える状態にしておくと、案内の反応を取りこぼしにくくなります。大がかりな作り直しは、反応を数えてからで十分です。
まとめ|新しいお客さんを探す前に、OB客への一言から
新築の市場は細っていますが、リフォームの補助金はまだ残っています。そして、その補助金は工務店から案内しない限り、ほとんど使われません。
OB客の名簿を4項目で作り、古い家から順に、補助金と点検の案内を送る。反応は相談台帳で数える。地域の工務店が今すぐ始められて、しかもお金がほとんどかからない集客です。
OB客への案内から、相談台帳づくりまで。
地域の工務店の集客を一緒に考えます。
名簿の整え方、案内の文面、サイトの受け皿、反応の数え方まで、今ある資源でできることから優先順に整理します。
オンライン対応・所要約30分・押し売りなし